26 夕されば小倉の山に鳴く鹿は

2020年12月18日 11:51

万葉集8−1511   舒明天皇

歌意
夕方になっても「休めよ」または「射ようか」山の小倉山で、いつも私を狙っていた「鹿」が、今宵は声も出ない。それもそのはずだ。私の手にかかって死んだのであるから。ああ、今夜こそぐっすり休めと、この静けさが私に話しかける。

 有名な歌である。「夕されば 小倉の山に鳴く鹿は 今宵は鳴かず 寝ねにけらしも」。しかしあまりにも平凡で、「それが何?」と言いたくなる歌だ。

 万葉集には十数種の重出歌がある。しかし「夕されば、、、」歌は重出歌ではない。雄略天皇の御製なのか舒明天皇の御製なのかわからないので二度掲載されているのだ。「静けさ」をモチーフにした歌なので、雄略天皇の歌とは考えられない。おそらく舒明天皇の歌であろうということで大方の意見は一致している。しかし歌の内容はライバル殺しであり、十分に残忍である。舒明天皇の歌とは思われない。

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