78 『日本書紀』に見える神光の正体

2024年04月19日 15:22

三輪のことはじめ

 大国主神はある日突然、不思議な光で海を照らしながら進んでくるものを発見。「一体あなたはどなたですか?」と問うと「私はお前の幸魂、奇玉だ。」と答える。さらに「どこに住みたいですか?」と聞くと「三輪山に住もうと思う。」との返事。そこで三輪の地にお宮を作って行かせた。これが大三輪の神である。この神様の子が甘茂君や大三輪の君たちや蹈鞴五十鈴姫命である。(『日本書紀』神代上「三輪の事始め
 幸魂(さちたま・さきたま)は鍛治王、鉄づくりの王を表す言葉だ。一方、奇魂(くしたま)の「くし」は、グジが日本風に訛ったもので「固め」、「鋳造」のこと。または韓半島南端に位置した金官伽耶国の主峰亀旨峰のグジをも指すものではないか。ピカピカに磨き上げた銅鏡などの金属製品を鍛治王の象徴として、船の帆先に高々と掲げていたものを神光(あやしきひかり=不思議な光)と表現したものだろう。
 大国主神はスサノオの息子。国づくりの神、農業神、商業神、医療神として信仰される。また大国主が神事を治める出雲には、毎年10月に諸国の神々が集い(神在月)、大国主の下で人々の縁結びについて話し合われるという逸話から縁結びの信仰が生まれたとされる。が、実は鉄製品の生産や分配に関する重要な話し合いが持たれたというのがその真相。

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